日本の川の中で、江戸川ほど映画に数多く使われた川はないと思う。
そう、国民的映画、寅さん。
10月8日からテレビ東京系列局で、全48作を今後2年半かけて年代順に放送される。
東京近辺の方にはともかく、このサイトをご覧いただいている全国の方に、江戸川下流部の情景をイメージしていただくにはこの映画が一番よいかと思う。土手堤から河川敷の風情は、30年前も今でも雰囲気は変わらない。
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私のサイトのテーマである「東京のアオウオ釣り」の舞台とは、東京の東端、葛飾区と江戸川区の一部。おおざっぱに地名でいうと、金町、柴又、小岩、篠崎。物理的には旧葛飾橋から篠崎水門までの約10キロ間のことを指す。現実的な釣り場としては埼玉県三郷、対岸の千葉県松戸・市川・流山の一部も含むが、とにかくこの一帯がカーブと沈床の連続する好ポイント、首都圏隋一の淡水大魚釣り場だ。
(篠崎から下流は、江戸川放水路と旧江戸川にわかれる。もはや完全な汽水域となり、海釣りの領域となる。前者はハゼで有名だが、文字通り、増水時のみ放水のために行徳可動堰が開き、東京湾に注ぐ。後者は川というより水路といった風情。東京湾に注ぐところが葛西臨海公園と浦安ディズニーランドである。)
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寅さんが家路をたどる時に歩くのはもちろん、時にマドンナと寅さんが語り合い、時に源ちゃんが昼寝をしたりと、とにかく金町〜柴又の江戸川土手は全作品で出てくる。具体的には金町浄水場の取水塔や矢切の渡しあたり。
このあたり、今秋のアオウオは調子がいいようだ。
私がやっている北小岩はこの500mほど下流になる。
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柴又とらやとその周辺の人間像と毎回主人公が各地の旅先で出会うマドンナとのラブコメディはいつもひたすら同じパターンで結末を迎える。つらく、滑稽な、悲しい男の話ではあるが、心情描写はあえてせず、さわやかに終わる。そしてメインのテーマは主題曲にぎゅっと凝縮されている。
アオウオ釣り師のボーズの週末の日々も、心理的にはかようなものだ。思い通りにはいかないもの。この土地で、秋深い夕暮れになるとなおさら、リアルに響く・・・
(2001.10.21)
星野哲郎作詞、山本直純作曲
俺がいたんじゃ お嫁にゃ行けぬ
わかっちゃいるんだ
妹よ
いつかおまえの 喜ぶような
偉い兄貴に なりたくて
奮闘努力の 甲斐もなく
今日も涙の 今日も涙の
日が落ちる 日が落ちる
ドブに落ちても 根のある奴は
いつかは蓮の 花と咲く
意地は張っても 心の中じゃ
泣いているんだ 兄さんは
目方で男が 売れるなら
こんな苦労も こんな苦労も
かけまいに かけまいに
男とゆうもの つらいもの
顔で笑って 顔で笑って
腹で泣く 腹で泣く