vol.9 そして、八月十五日はまた来る。
「熟慮」の末、終戦記念日の予定を繰り上げ、小泉首相が13日に靖国神社に参拝した。
是非についてはさまざまな立場からの意見があるが、首相なりに配慮に配慮を重ねた結果。
都内は報道ヘリコプターがぶんぶん飛びまわり、すごい騒ぎだった。ワイドショーも一斉にとりあげる。かつて橋本首相なども行っていたはずだが、これほど注目されるのもまた、純サマゆえ。
かつて中曽根首相の頃、W大政治学科の学生だった私はレポートを書いた記憶がある。
この靖国参拝問題、終戦記念日がお盆という日本的タイミングにたまたま重なったことも複雑にするのだが、根本は二つ、国内的な政教分離という憲法上の解釈と、国際社会、特に韓国・中国との、政治的かけひきのネタであること。もはや、半世紀以上、これからも延々とつづくであろうと思われる。
そもそも、小泉氏がこれほど頑固になったのも、内政干渉ともいわれた中国の唐外相の「やめなさい」発言が、彼のハートに逆に火をつけたのではと思われる。毅然とした態度を取ったのはある意味、立派な英断だと思う。どこかで立ち切らねば。
さて、政治論はさておき、私の愛するアオウオはその中国という土地から来た。明治からの段階的な移植事業は、戦時対策としての1943年のものが最大だから、戦禍の東シナ海をわたってきた世代が利根川・江戸川のアオウオのルーツである。もし戦争がなかったら、今この釣りをしていないし、「外来魚」ではあるが、もしあの戦争に勝っていたら?などという不謹慎な発想もある。
中日関係は釣り好きの下衆としては、気にかかる。
いつかはその母国の大陸に釣りに行きたいだけなのだが、個人が釣りに行くには今の中国という国はまだまだいろいろ難しいものがある。しかも教科書問題をふくめた昨今のごたごたで、またもや、ちょっと遠のいた気がして気にかかる。田中真紀子さんの頑張りも、別次元で空回りしており、少々難しそうだ。
来月中旬、いよいよ台湾にアオウオを釣りに行く。中国に近いから。
目的地は中部の山間の湖、日本人の「青師」としてはたぶん初の海外遠征?かもしれない。
あの戦争にもし勝っていれば、ただの遠征だが、などと思う敗戦記念日。
2001.8.15