仰天!都会の巨大魚、異国からきた“川のヌシ”

NNN系全国ネット 「今日の出来事」 (2003.5.23オンエア)


日本テレビ発全国ネットワーク、NNN「今日の出来事」はテレビ黎明期の1953年スタート。約50年も続いている老舗“ブランド”報道番組。キャスターの個性重視でワイドショーのようなニュース番組が多いご時世ですが、クールに淡々と客観的に事実を報道する、ジャーナリスティックな硬派な番組です。社会派調査報道メインの特集コーナーにも定評があります。

取材依頼は2002年の7月、同番組の制作ディレクターより次のようなメールをいただきました。

 初めまして。「青魚倶楽部」のホームページを拝見しご連絡いたしました。
 江戸川で160センチの巨大魚を釣る・・・東京のど真ん中のロマンを感じます。また、なぜ青魚が大都会を流れる川に生息しているのか、興味を惹かれます。そして、青魚に魅了され江戸川に移り住んだ茂木さんの生き方に魅力を感じます。
 日本テレビのニュース番組『きょうの出来事』(月〜金 22:54〜23:55)の特集にて、江戸川の青魚のこと、そして茂木さんご自身について取材させていただくことはできませんでしょうか。
要は、単純に巨大魚を情報として紹介するということではなく、それを東京江戸川で狙う釣り人個人のドキュメンタリー、この「青魚倶楽部」なり「トーキョーアオウオ生活」の映像版という意味あいのものです。

撮影場所は
江戸川の東京側、期限は私が釣れるまで、私の釣行に朝から納竿まで完全密着での取材ということで、9月下旬から秋からカメラとの釣りがスタートしました。

しかし、昨秋の江戸川は、河川工事の影響で河口堰水門が閉鎖され、厳しい状況が続き、11月下旬まで、毎土日、十数回のアタックにもかかわらず全くアタリなしの日々。
 途中、釣友の上げた何匹かのアオウオがカメラには撮影できましたが、私の竿で釣る瞬間を撮るというこだわりのなか、取材は春へと持ち越され、桜の開花宣言の3月下旬にようやくフィニッシュとなりました。

放送自体は約8分30秒ほどでしたが、100数十時間におよぶ取材時間、使用したテープの本数は数十本。

足掛け半年の取材はアオウオ釣りの試練と忍耐そのものでした。一緒に焚き火をしながら時間を過ごしたスタッフの苦労も報われたかと思います。私にとっても格別記憶に残る一匹となりました。

いつもクールな井田由美さんが、きょうの特集ですと紹介。深刻なニュースではないので心なしか笑顔が・・。
水面に浮上した青魚と、大きさを印象づけるテロップ。このサイズは釣り人の願望でありゴールです。
会社近く、東京・銀座中央通りにて。これが私の平日の“怪社員”スタイル。
仕事は広告代理店なのでバタバタと忙しいですが、基本的には週末のために生きています。
ホームページにも載せている画像がいくつか。正確な数はもうわからないのですが、11年もやっているとこんなものです。
年に4〜5匹が釣れれば充分という釣り。
青魚の魅力はいろいろありますが、根本にあるのは、大きな強い生き物にさわってみたい、会ってみたいという単純な本能です。子供がカブトムシとか、クワガタが欲しいのと一緒で、理屈ではありません。
No Reason。
リビングの水槽、和室の魚拓に囲まれた青魚依存症生活。パソコンも仕事の道具ではなく釣り具のひとつです。
「お魚のない生活をしたい」という愚妻。
なかなかいい嫁語録だとは思います。
2mがいればこのくらいの体高だろうと。
まだ半そででいられる10月は空しく過ぎました。
11月に入り、秋も深まってきます。
小岩FFC高津会員の108cm。大会期間なので幹事の私は現認にいきました。
焚き火がかかせない晩秋。
ようやく、前アタリをとらえました。すでに取材釣行日数は15日を越えています。
カラス貝のエサを柔らかく締めこむ前アタリに、フォーカスを合わせてます。

*江戸川でこのエサで当たるのは95%以上の確率でアオウオです。タニシをエサにしたときとは違い、押さえ込むやわらかいアタリが出ます。
スッと入りましたが、
食いこみません。
11月下旬、川のコンディションは好転の兆しもなく、水温は10度台に低下。来春に持ち越しとなりました。

それにしても心にグサリと染みます・・・
まだまだ知られていないアオウオ移入の経緯です。
利根川と江戸川の位置関係。
この2河川が千葉県の形を作っています。
2003年3月下旬、春分の日から春の釣りをスタートです。

朝、自宅マンションから出るところ。
春の2週目、3月29日。

カラス貝をエサに、朝、いきなりのアタリ。もう既に糸が引き出されクリックが鳴っています。

*テロップはこう出ていますが、
カメラマンに「撮れる?」と言っているところです。
竿掛けから外し、軽くアワセを入れた瞬間。グッと重量感が伝わる。
魚は見えなくてもイシダイ竿の胴まで入る重量感でアオウオとわかります。
腰を低くしてファイトしています。

*私の顔よりも、大きく曲がる竿を撮って欲しかったです・・・。カメラマンも動転しています。
魚は最初下流に走り、向きを変えて上流に走り出したところです。ドラグから激しく糸が出されます。

*竿は魚の走る反対側に倒して大きく曲がっていますが、やはり写っていません。
10分少々のやりとりで浮かすことができました。
ここにいるのはカメラマンと私だけ。
単独ランディングをしなくてはなりません。
反転させて
単独での取り込みはとにかく息を何度も吸わせて魚体が横になるまで弱らせることが肝心です。
*二本針の場合は二本とも掛かっていることを確認しない限り網を出さないことです。(このときは最初は一本しか掛かっていなかったので、反転させてもう一本の針を掛けています。)
網に入りました。
ここまでいれてようやく安心です。ジョイント部が折れる可能性があるので、玉の柄ではなく網の枠をもちます。
水位がやや下がっているため、川岸には段差があります。たまたま河原を散歩で通りかかったオジさんが段差からの陸上げを手伝ってくれました。
ビニールシートを広げ、メジャーを当てたところ。
久々の魚で、しかもまあまあの型です。
貴重な映像ですから魚のボリューム感をじっくり撮ってもらいました。
うれしさよりも、プレッシャーからの開放感と安堵感で
一杯です。とにかくホッとしました。

昨秋からのことがいろいろ脳裏をよぎって不覚にも涙ぐみました。

アオウオはとにかく釣れませんが、めげずにやるしかありません。
そして、釣れない時間が長いほど一匹の感動は大きくなります
ウェイダーをはいて、IXYSHOTで掲載した写真を撮っているところ。至福の時です。
魚はやりとりと陸揚げのショックで疲弊してます。

すぐにリリースせずに、体を支えて自力でしっかり呼吸し、自分で泳ぎ出すまで、口から水を流しこんであげます。
リリースの瞬間です。
無事、川に戻っていくアオウオでエンディング。

「きょうの出来事」公式ページ


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