〜淡水大魚に会える施設での姿態スナップ〜
埼玉県東北部。利根川ぞいの肥沃な土壌と豊かな水を活かした穀倉地帯。利根川中流の日本唯一の天然産卵場からほど近くに、四大家魚マニア垂涎の聖地もしくはメッカとなる施設が二つある。いずれも濃度満点。マニアならずとも一度は足を運んでみてもらいたい。
ひとつめは一般向けとはいえないが、埼玉県水産試験場(加須市。現在は埼玉県農林総合研究センター水産支所と改称)。いうまでもなく国内でのソウギョ類の人工種苗生産のパイオニア、ここは行田や栗橋といった利根川の産卵場からもすぐ近くという地の利もあり、日本のソウギョ、レンギョ類の歴史上からも貴重な数々の研究成果を残した。「淡水大魚釣り」を著わした小西茂木氏の淡水大魚生態研究の情報源はここである。
そしてさいたま水族館(羽生市)。市民向けに開放された公園となっており穏やかな環境の中で。ここのシンボルはやはりアオウオ、ソウギョ、コクレン、ハクレンといった四大家魚。各魚種を混泳させた巨大な展示水槽もすごいが、外の美しい池にはなんとメートル級のアオウオとソウギョがメイン。訪れた人は感嘆の声を上げる。私も何度訪れても楽しく時間を忘れる。
以下は写真スナップを中心に紹介する。これだけでも同好の方にはたまらないと思うが、やはり文章と写真では伝えきれないものがある。この二施設はほんの数キロのところにある。家族を連れてぜひとも自らで大魚体験をしてほしい。きっと違う角度から大魚たちをより深く理解できると思う。
加須インター近く。ここは公的な河川漁業と養殖業の振興を目的とした調査・研究機関であるため、平日に来訪することになるが、アポイントをとっておけば技師の方に専門的な話を伺うことができる。スタッフは20名ほど。海外からの国際研修生も受け入れている。広大な敷地に魚種別の試験池が並ぶ。ソウギョ類の親魚の入った池がもっとも大きいが、プランクトンで濁っていて魚はみることができない。
鑑賞魚類展示センター
ここは入場無料で自由に見学できる。一般向けとはいっても、研究機関の資料室にホルマリン標本と種苗生産技術などのパネル展示が中心で、鑑賞魚のプロもしくはよほどの魚好き向け。
なんといっても北浦で採捕された140センチ、50キロのコクレンが圧巻。故・小西茂木さんはこれを生で見たというから羨ましい。
羽生インター近く。ここは四大家魚、特にアオウオを目玉にして力を入れている。大魚好きには何度おとずれても飽きない。もちろん埼玉水試とも密接な関係にあり、技師の説明をきくことができる。周囲は広大な公園になっており、家族連れのピクニック気分で訪問されたい。
ゲートをはいって右側にある「魚ッチング池」と名づけられた美しい池。だが、そこに泳ぐ魚に度肝を抜かれるから、ゲートをくぐるときにしっかりココロの準備をされるよう。
魚ッチング池パート1
いきなり累々と集まる大魚。頭の丸いのがソウギョ、尖っているのがアオウオ。90〜120cm級だから錦鯉が小さく見える。水も浅く澄み切っていて、人なつこくすっかり慣れているから魚に触れることができる。アオウオにも手からエサを食べさせられる。あたりに雑草があれば、浮かべてみよう。ソウギョはイネ科の草が先が尖った草が大好き。
魚ッチング池パート2
止水の池につづく形で清流をモチーフにした流れが作ってある。が、あいかわらずソウギョ、アオウオのオンパレード。美しい錦鯉が優雅におよぐ回りにはが、あいかわらずソウギョ、アオウオのオンパレード。まだ小さなアオウオやソウギョも群れて流れに遊んでいる。頭が丸くややコミカルにも見えるソウギョと比べると、錦鯉にひけをとらないアオウオの優雅な姿と色がよくわかると思う。
四大家魚展示水槽
秩父のヤマメイワナに始まり、埼玉県内の魚を流域別に展示しているが、やはりこの水槽展示がこの施設の中でもシンボル。140cm近いアオウオは悠悠と泳ぐ様は圧巻。隣の水槽は大ゴイが入っているのだが、この水槽の前では霞んでしまう。アルビノソウギョも一緒におよぐ。コクレンとハクレンはやや痩せ気味。
日本初。アオウオの人工孵化
ソウギョは除草用、ハクレンはアオコなどの除去目的で早くから人工種苗生産が行われてきたが、アオウオはそのような経済・社会的な実用性がないこと、また親魚自体が少ないこともあり、その対象にはなっていなかったが、1994年にさいたま水族館では初の人工種苗生産に成功。もっぱら鑑賞用のニーズとのこと。
イベントもアオウオが目玉
曜日によっては四大家魚水槽の裏側の管理用スペースに入ることができるらしい。それにしてもここの水族館はアオウオ好きだ・・・。