台湾初訪問記(2000年夏・台北)
*写真はクリックすると大きく見られます。
■憧れの中国は無理でも、台湾があるじゃないか。
アオウオといえば、故郷は中国。大公望の国。いつかは釣りに行ってみたいと思っている。
そこで、いろいろなルートで情報収集してみたが、実はかなり厳しい。四大家魚たちの本質は、4000年の歴史をもつという養魚。 「家魚」というくらいで、いわば食用。こちらでいうブタとか牛とか家畜のような存在であった。 さらに、今の中国にはレジャーや遊び目的で釣れる場所が少ないようだ。 しかも、外国人が個人でふらりと野釣りに行くというのは国のシステム、治安上からも現状なかなか難しいようである。
昨夏、たまたま台湾に観光旅行したので、これはその時のレポート。釣り未亡人の妻との夏休み旅行であり、羽田から近くて、食べ物も美味しく、エステもマッサージもあるし、 という建前ではあるが、私のテーマは青魚を食べることと、釣りに関する情報収集。
台湾は石垣島と同じくらいの緯度の亜熱帯。九州と同じくらいの大きさの島国。資本主義のもと、皆働きもので、生活水準も高く豊か。 首都である台北の物価は東京なみだ。家族便利商店(ファミリーマート)も牛丼吉野屋もある。
台北都心部 |
歩道風景 |
夜市にて |
圓山飯店 |
街にはベンツやジャガーが行き交う。おどろくのはスクーターの多さ。キャバクラに出勤のおネエさんも、デートする若者もビジネスマンも皆。しかも、ケータイで話しながら運転してたりする!ヤマハやホンダと書いてあるが別モノで、日本より、かっこいいものが多い。普段、釣りの足がスクーターの私にはとても興味深かった。
もはや日本語教育をうけた世代はリタイアしており、日本語はあまり通じないが、さすがに教育熱心なこの国、都市部の店員などはみな英語を話せる。文字は漢字なので、街の看板などなんとか理解できるし、いざとなれば筆談で通じる。
■台湾の釣り事情
とりあえず書店で釣り雑誌を買う。誌面からはレジャーとして釣りを楽しむ余裕が伝わってくる。最大級表現の横行する派手な広告から有名釣り具店を探し、タクシーで飛び込んで見る。
釣り具は日本風が中心。全般に日本の影響を受けていて、ダイワやシマノは憧れのブランドらしい。日本語を入れたコピーものも多い。「猛牛」などという竿があって笑える。リールはスピニングリール中心、アブの両軸などはない。石鯛竿はダイワの小笠原が一番最高グレード。海釣り、川釣り用品半々くらい、ルアーはあるがブームというほどではない様子。
店員に、アイム ビッグ フッシャーマン フロム トーキョウ、という感じの怪しい英語でアオウオのことを聞いてみるが、要領を得ない。「青魚」と書いてみるが全然駄目。財布に忍ばせた青魚の写真をみせるとようやく、わかったようだ。
実は台湾では「青魚」ではなく、「烏鰡」と呼ぶ。読み方は「OLiu」、ウーリューあるいはウレヨウ。烏(カラス)のように黒いので、このように呼ぶようだ。釣りの対象としてはベリーポピュラーで、しかもとても美味しいという。釣り場は各地にある「水庫」(ダム)。ただし、台湾は大陸と違い、天然繁殖できるスケールの川はないので、すべて放流したものらしい。釣宿業、養魚業者もたくさんいるという。
これだけの書物を購入 |
英語も疲れるし、買うものもないので、釣りのムックや釣りの専門書を買い込んだ。
実用書は日本の釣り入門書をそのままパクったようなものが多いながら、アオウオについての資料もだいぶ揃った。
残念ながらまだ翻訳しておらず(できず)、ぼんやりとわかる程度のことだけ以下に記す。
■台湾のアオウオ=烏鰡釣りについて、わかったこと。
●釣りの対象としては、その大きさと食味から、鯉よりも人気がある魚。
●基本的には食べることが目的、キャッチアンドリリースという発想はない。
●野釣りと管理釣り場、すなわち釣り掘があって近年増加中。
●野釣りの場合、川ではなくダム中心。岸には釣り宿が営む専用筏のようなものがあって、一日1000円くらい。貸し竿もある。食事も夜釣りもできる。
●タックルは投竿に大型スピニングリール。(烏鰡竿という専用竿がある。長さは2.7〜3.6mくらい)
●釣り方は日本の鯉釣りに近いぶっこみ釣り。道糸8〜10号、1本または2本針。
●餌は貝類。タニシ、カラス貝、シジミ。
*タニシは日本でいうジャンボタニシ(害虫!)も使う。殻ごと掛ける。水上にイクラのような卵があるところが絶好のポイントとある。
●釣りによる最大は70キロ。(長さは不明だが170cm級ではないか?)
●アオウオを食べる〜禁断の味を初体験!
釣りする時間はないので、とにかく食べてみたいと思い、ホテルのコンシェルジュに尋ねるが台北市内にはないそうだ。台北郊外にいけば「活魚料理店」がたくさんあるとのことで、石門水庫という人口湖にタクシーで行ってみる。相模湖や津久井湖という感覚の観光地、たしかにドライブインのようなものがいくつかあってどこにも「活魚」という看板が出ている。
湖畔の一軒に入ってメニューをみると、生け簀料理システム。一匹をオーダーして煮る、焼く、蒸す、揚げるなどのうち、3種類程度を指定する。アオウオ、ソウギョ、レンギョ、とあるがアオウオがいちばんオススメだというので、迷わずオーダー。浴槽の倍くらいの生け簀には70センチくらいのソウギョとアオウオが入っていて、そこから選ばせてもらった。
空揚げ、四川風、スープにしてもらったが、味は白身のブリに近い感じ。特に四川風(マーボー豆腐のような感じ)が美味しかった。
■台湾のコクレン事情
コクレンといえば日本では幻中の幻だが、台湾でレンギョというとコクレン。ハクレンはあまり人気がなく、数も少ない。ハクレンよりも成長が早くて養魚効率がよく、味がいいからだそうだ。さすが、中国人!「大頭連」ともいい、特に頭が美味しいらしい。
コクレン釣りの仕掛けは「覇王針」という専用仕掛けを売っている。日本でいう吸い込み仕掛けにちかく、ラセンワイヤーに8本ほどのハリがぶらさがっている。餌は練り餌。専用の「大連魚」などというコクレンの絵が書いてある練り餌を売っていた。オモリは底につけ、ボール浮きをつけて、この仕掛けを3〜4メートルの中層で固定するという釣り方。
■最後に
今回は台北だけの観光だったが、アウトラインはつかめた。残念ながら天然物ではないが、機会があれば是非、台中あたりに釣り目的でいって、コクレンとアオウオを釣ってみたい。
また、周りはすべて海であり、磯のイシダイ釣りもあるそうで、それはそれでぜひリサーチの課題としたい。
*上記内容は2000年夏のもの。このリサーチを活かして2001年夏には釣りをしてきた。台湾釣行記を参照。
*リンク集には台湾の青魚(烏鰡)関係のサイトを紹介しています。