vol.1 「北小岩の柳と私」


東京都江戸川区北小岩7丁目地先、通称「北小岩乱杭」にある「柳」は青魚釣りのポイントの名称のひとつで、川べりに1本の川柳がある。

小岩FFCのメンバーがカラス貝での釣法を発見、幻の魚を狙って釣るという青魚釣りの発祥の地。約20メートル先の石積みから一気に崖のように5メートル以上落ち込み、ポイントはその先。竿下で釣れるポイントが数多く開拓された今、釣り場としては難所ではあるが、160cmオーバーを含む多くの大物とのドラマを生んだ屈指の大物ポイント。

私が9年前、のめりこむきっかけとなった雑誌の背景に写っていたのも、そして素晴らしい仲間達と出会ったのも、初めての青魚に涙したのも、すべて、この柳である。車は入れず、アクセスは自転車かバイクに限られる。小岩に住もうと決心した理由もここにある。

ここが素晴らしいのは自然環境である。広大な小岩緑地の芝生を背に、護岸化が進む江戸川には少ない自然の岸が残っている。足元の葦の葉で草魚も釣れる。対岸は国府台の里見公園と眺望も素晴らしい。静かさもいい。春にはヒバリが高く舞い、秋にはモズが縄張りを主張する。この柳自身も、四季に応じた装いを見せる。

柳はわが師でもある。プレジャーボートの三角波で根をえぐられ、強風にも負けずにひたすら耐えている、うたれても、うたれても、しなやかに。そして、地に足がついている。その姿にいつしか憧れる。

わが人生において特別な意味をもち、そして釣り場としても最も愛する場所。そしてそして、ここは東京だ。

2001.5.30