「明日があるさ」という昭和30年代の歌がリバイバルヒットしている。
カラオケでも上位ランキング。缶コーヒーのCMとそのままそっくりのドラマは、初回視聴率29%、NTVの連ドラ歴代2位という。時代の気分というか、今年の流行語のひとつになるだろう。
ところで、船釣りに行くと必ずといっていいほど聞く船頭の言葉がこれに近いものがある。
沈黙の釣り師に「昨日までは良かったけんだけどなあ、潮が動いてくれりゃ釣れんだけんどなあ、ま、今日は駄目だなあ。」潮が動いてしめしめと思うと、「今日は底濁ってるなあ、潮が早すぎるなあ」「今日は、水温さがっちまったな」と万事この調子である。これは磯釣りの渡船とても変わらない。昨日の予約の段階では「釣れている」し、明日は必ずいいのである。
江戸川の場合でも、河口堰の篠崎水門というものが釣りをかなり左右する。「今日は水門が開かないから駄目。」水門が開いている日は「ゴミが多くて駄目。」だが、どうみても良い開き具合の場合、「利根川の上のほうで昨日降って水温が下がったみたいだ。」また、土日しかできないサラリーマン釣師は「今日はボートが多くて駄目」という。しまいには「今日はここに青魚がいない」となる。
要するに「今日」という日は大抵悪いのだ。すなわち、「釣りには昨日と明日があって今日がない」。
どうやらこれは、海・川・洋の東西を問わず、ひとつの真実でははないかと思われる。
また、別に釣りだけでなく(私は詳しくはない・・)、キャバクラ通いの客などにも当てはまる(らしい)。そのおネエさんのいるお店にさんざんお金を使い、ようやく店外などで会うことになっても、いざとなると「ゴメン、今日は○○だから駄目なの、今度またね。」本当に○○なのかもしれないが、ここにも今日はない。でも、いつかの今日を信じて通ってしまう(らしい)。
とかく、男というものは、かようにめでたく、あきらめが悪いものだ。
2001.6.15