仕掛け・タックルの実際


私自身の仕掛け・タックルを紹介します。


■強さは優しさ

アオウオは冬場なら鯉の3号ラインで上がることもありますが、それはあくまで運であり特殊例です。
価値観によりますが、ライトタックルでたまたまとりこめたというのはこの魚に関してはまったく誉められたことではないと私は考えます。

キャッチ&リリースの釣りですが、相手はダイヤモンドのようなもの。鯉のようにいくらでもいるゲームフィッシュではないのです。もし、針がかりしたまま切られれば魚へのダメージが大きいのです。

私も鯉釣りや他の釣りではこのような発想はしませんが、アオウオを本当に狙って釣るならばそういう部分を考えて、適切な用具・仕掛けを使い、掛けた魚は必ず取り込んで、自分の手で針をはずしてリリースしたいものです。

その意味で「強さは優しさ」だと思います。私がオーバースペック気味に強さにこだわるのはそのためであり、ハッタリではないのです。また、自らの身長に迫る大魚と真っ向から勝負をし、牛のような剛力を味わう、この釣りならではの醍醐味も仕掛けへの信頼感があってこそと私は考えます。

■2本針仕掛け

二本針仕掛け私の基本リグは、江戸川本流の石の多いポイントを想定し、ワイヤーを本線とした変形Y字2本針です。

1本針が理想ですが、タニシの殻ごとの場合、すっぽ抜けが多いこともあり、2本を使用しています。これを強力なハワイアンスナップで名古屋テンビンに接続しています。
 捨てオモリは、名古屋テンビンに付属のスナップを切断し、小さなWスナップに交換し、小田原オモリの40号を取りつけます。(オモリ根掛かりも容易に外れ、またこのバランスならば、アオウオでほぼ100%、70cm程度の鯉でも、掛けた魚が首を振るとスナップが切れてオモリが外れ二次災害を防げます)

本線部分は15cm〜20cm、ナイロンコーティングのワイロン36番(または19本撚りワイヤー36番)、非常にしなやかなワイヤーですが、根ずれにはどんな糸よりも安心です。これと名古屋テンビンの金属部分が石鯛釣りでいう瀬ズレの役目となります。結節はSSのスリーブ止めで輪を作っています。

Y字部分は、よつあみ社の「ウルトラダイニーマ巨鯉ハリス10号」を、2.5cmと5cmの段差にしています。(そもそもY字仕掛けは、小西茂木氏が淡水大物の制御用に開発したもので、その寸法は4cm程度が基本。)この寸法では青魚が頭の向きを変えるとほとんどの場合、もう一本が自動的にかかります。

私はタニシ同志のからみを防ぐため、写真のように針の長さ分を段差にアレンジしています。

針はがまかつの「管付きソイ22号」を使用しています。
ソイ針は長軸の形、錆びにくく軽い素材で江戸川でも標準的に使われています。(以前は24号を使用していたが、根かがりが多い。)
管付きはハリスの長さを決めて結びやすいので便利です。私はダブルクリンチノノットで結節していますが、しっかりひきしめておかないと管の隙間がありますので注意しなくてはなりません。


■道糸

道糸DMV

フラットなポイント中心なら10〜12号程度で十分ですが、石のあるポイントではさらに太いものが安心感があります。

こだわるならば石鯛用の専用ラインがいいでしょう。低伸度、耐磨耗性の優秀なものがあります。忘れがちなのが耐水性。粗悪なナイロン糸は水を吸ってしまいふやけてしまうので、長期戦の場合に不安が残ります。

私はYGKよつあみの「アドミックス石鯛」の18号を使用しています。フロロカーボンに近い硬さがありますが、一昼夜水中にあっても、品質が劣化しませんので安心です。

 ただ、どんな品質の良い糸でも、新品の強度を保つ努力が必要です。私は仕掛け回収の都度、道糸の途中の傷はチェックして、少しでもスレていればケチらずに切り捨てるようにしています。一日に20メートル切る事もありますから、春・秋に2回ずつ新品にスプールを巻き替えることにしています。些細なことですが、この基本を怠って千載一遇のチャンスを逃したら悔やんでも悔やみきれませんから。

■タックル(竿・リール・竿掛け・センサー)*写真はクリックで拡大します。


私のタックル

川の大型青魚を甘くみてはなりません。そのスケールもポイントの環境も、湖でメーターの鯉を釣るのとは次元が違うことをまず念頭におきましょう。最近の関東近辺の鯉釣りでは標準的なタックルとなった石鯛竿+両軸リールが良いでしょう。

竿は、単純にオモリ負荷でいえば磯上物竿の5号クラスや鯉専用竿でもいいのですが、大型をかけて流れに乗られた場合、矯めきれない場合があります。矯められないということは、引き合いで糸を引きちぎられるのではなく、下流にずるずる糸を引き出され、最終的に障害物にヤラれるという結果を意味します。また、粗悪なものは竿が折れます。

安心なのは胴に粘りとパワーのある石鯛竿です。石鯛竿は最初は穂先が柔らかい先調子→トルクがかかると胴調子→最終的には元竿のほうまで曲がっていくという構造で、素材が肉厚で、胴に粘りとトルクをもたせてあります。外見の太さ長さが似ていても、ここが他の竿との大きな違いです。物理的強度ではなく、最終局面で超大物を捕れるかどうかはこういう設計にかかってきます。

石鯛竿を選ぶ場合、固さ=パワーと勘違いしないことが肝心です。体力にあわせて、自分で立てられる竿を選ぶべきです。たとえば剛竿タイプのHの竿は、腕力を胴の強さが上回って竿をのされます。(離島のクチジロ釣りなどでは、引きをあしらいつつ「柔よく剛を制す」タイプが主流です。)また、使用にあたっては、上物竿と違い、穂先が柔らかく、竿を後ろにあおるほど立て過ぎると折れやすいので取り込み時などには注意しましょう。ダイコー、がまかつ、ダイワ、シマノなどの大手か、石鯛専用ショップ・メーカーのものなら安心です。

巨鯉HH525B

2002年には、ダイワ精工より、青魚を視野に入れた「巨鯉HH525B」という振出竿が発売されています。旧タイプの小笠原24号をベースに改良しているようですが、実際に試用してみたところ、穂先のしなやかさとバランスの良さ、仕上げの良さが印象的です。(小笠原24号はいわゆる剛竿タイプ。私はこれで実際に140cmの青魚を上げたことがありますが、張りが全体に強すぎて私には竿が立てられず終始ノされ気味でした。)この竿でしたら竿が立ち、かつ相当な大物も耐えられそうです。
*それにしても、大手メーカーの釣具で「青魚」という文字があるのはこの製品が初でしょう。私などはそれだけで感涙モノです・・・10年前には有名釣具店の店員も知らない魚でしたから(涙)

タックルでいえばなによりも竿が大切で、あとはディテールにすぎません。リールはドラッグ調整幅を基準に選べば良いでしょうし、あとの周辺用具は好みでかまわないと思います。

私は現在、下記の組み合わせで4組を使っています。

竿: ダイコーフルフィールド名礁石鯛540MH(印籠継)

石鯛竿では高いシェアのダイコーの中級グレードですがバランスのいい竿です。手頃な価格で、多く出回っている竿です。

手軽で携行に便利な「振出」タイプでも強度に問題はないものの、夜間などのガイド合わせの手間や使用中のズレが気になり、あえて「4本継ぎ」タイプにしています。振出に比べると肉厚も十分で、やはり安心感があります。

 私は視認性を高めるため白い穂先をエポキシ塗料で朱赤に塗っています。赤は川岸の緑や水の青色との補色となり最も見易い色です。海の磯でも同様です。

リール:ABU アンバサダー10000C−SP(純正パワーハンドルに交換)

これも今では鯉釣りの定番で、そのドラグ性能は定評があり、ブランド性、デザインからも私も含めてファンが多いようです。ノーマルのハンドルは小さいので大きなパワーハンドルに交換しており、しっくり手になじみます。万一のトラブルを考え、レベルワインダーのないタイプです。


ダイワ巨鯉40W

ただし、機能だけでみると、最近の国産品石鯛用のリールのほうがはるかに優秀です。例えば私が石鯛釣に使っているシマノ「海魂4000T」はカウンター付きで、ギア比も高く、ドラッグ性能も抜群。今後はカウンター付きの国産が主流になると思われます。ダイワからはデジタルカウンター付石鯛用リールのシーラインを、タイマー付きで鯉釣り専用にアレンジした「巨鯉40W」が発売されています。



竿掛け:山田製作所製 ステンレスピトン

ピトン型のものが角度調整などの面で便利です。この山田製作所のピトンはやや重いのですが、強度・性能、ステンレスの仕上げも良く優秀です。
私は草の覆い繁る自然のポイントがメインのため、足は1メートルのオリジナルのものを使用しています。護岸のポイントでは短い磯用のピトン足で目地に打ちこみます。

センサー:コムテック製 フィッシャーマン

これは直接釣り具ではないのですが、夜釣りなどで安心して寝るために使用しています。無線式のものは自作ふくめいろいろ試しましたが、このコムテックのものが市販品の中ではベストと考えています。デジタル式で混線がなく、完全防水なので気に入っています。アンテナの向きにもよりますが、ハンディタイプの専用受信機で飛距離を測定したところ半径900m程度は確実に飛びます。バイクの12Vバッテリーから電源を供給して電池を節約しています。


*クリックで拡大します

ノーマルは道糸をトグルスイッチに掛けるようになっていますが、私はトグルスイッチ部分に丈夫な糸で小型のクリップ(文具用)をとりつけて、その糸にたるみをもたせることで流れや強風対策のためバッファーとしています。また、これにより、セットするときに道糸を引く必要がないので、穂先の曲がりを再調整する必要もなくなります。(アタリでラインが引き出されるとスイッチが入り、クリップは外れます。)


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